平安物語=短編集=【完】
――その後、心を込めて末永い愛を誓ったり、将来や来世のことまで一方的に語った。
呆然とした女御は、時折私が涙ぐんだり、うっかり更衣への想いを口にしたりしても気づかないようだった。
夜明け前には、女御は帰らなければならない。
飽き足らない気持ちながらに起こしてやると、下腹部を押さえて顔をしかめた。
嬉しくて、涙が出た。
あの更衣と初めて契った時も更衣は腹が痛くて歩けず、嫌がる更衣を抱いて送り届けたのだった。
「お腹が痛むのですね。
歩けないでしょう。」
コクリと頷く女御の支度を整えて、そっと抱き上げて寝所を出た。
迎えの女房は、驚いた顔をして畏まっている。
「女御は今は歩けぬ故、私が送り届ける。
他言は無用だ。」
そう言い放って歩き出すと、女房達は慌てて着いてくる。
「そのような…
どなたか、相応の殿方をお召しになっては…」
そう言う女房を
「有り得ぬ。」
と鼻で笑って、他の妃にバレないようにこっそりと送り届けた。
しかし…扇で顔を隠しただけで、何の抵抗もしない女御には少しがっかりした。