平安物語=短編集=【完】
それでも女御様は、何を気取るでもなく、奥ゆかしくも楽しいお話をしてくださいました。
私も、あまり卑下しすぎないように気をつけながらお答えします。
弘徽殿の女房方には、私の容姿がどう映るかと辛く思っていると、
「そちらはあまり端近過ぎますわね。
気がつきませんで…」
と仰って、私をお側にお招きくださいました。
あまり固辞するのもどうかと思って従うと、さり気なく御几帳を引き寄せて人目を遮ってくださいました。
お礼を申し上げようとしましたが、そのまままたお話をなさって何でもないように振る舞われます。
本当に、鳥肌が立つほど素晴らしい…素晴らしいお方なのです。