平安物語=短編集=【完】
***



「まだ分からないのか…」

「申し訳ございません…」

もう、紅葉の姫君と逢った夜から二十日が経つ。

時明に、独身で若い姫君がいる屋敷を片っ端から探らせているが、なかなか見つからない。


その間私は、どの女にも逢わなかった。

どうしてもあの姫君の事ばかりが思い出されて、他の女に関心がわかない。

女房達や事情を知らない召使いなどは、あまりの変わりように驚いてコソコソ噂していた。



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