平安物語=短編集=【完】



父宮は、親王だけあって気品があってすっきりしている。

「これは式部卿宮。
こんな所をお訪ね頂けるとは、驚きました。
どうなさったのです?」

「突然失礼致しました。
なかなかお訪ねも出来ませんで。
大君の御結婚のお支度てお忙しいのだとか、申し訳ございません。」

「いえ、つまらない結婚の事などお耳に入りましたようで。
妹の方は、宮様のようなお方にこそ差し上げとうございます。」

ちらっと私の目を見て、真面目な視線を寄越してくる。

北の方との中君を薦めようと言うのであろう。


「実は、その事でお願いがあって参ったのです。」

と言うと、ニヤッと笑った。



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