平安物語=短編集=【完】
頂いたのは、東の対の一室です。
翌日、父上と北の方にご挨拶を申し上げに寝殿に参りました。
派手過ぎず落ち着いた色合いの衣裳で揃え、数人の供だけを連れて。
お久しぶりにお目にかかった父上は、記憶よりお年を召していらっしゃいましたが、柔らかく微笑んで労ってくださいました。
北の方は……綺麗なお顔で、終始私を睨むようにしていらっしゃいました。
元々そういうお目つきなのかもしれないと、にっこりとご機嫌を取るような事を申し上げるのですが、ますます眉間に皺を寄せられて不機嫌そうになさいます。
やはり亡くなっていても、浮気相手の娘は憎いのでしょうか。
父上が何とか取りなそうとしてくださっていたので、何にも気付かないように振る舞いましたが、早く逃げ帰りたい気分でした。
***