平安物語=短編集=【完】
橘の花が咲き誇る頃――
院の御所に行幸があり、溢れんばかりの人でいっぱいです。
帝がお越しになったのです。
御前には遅咲きの桜も植えられ、幻想的な美しさです。
一通りの宴を終え、御家族水入らずで後宴を開かれていました。
「父上母上には、お変わりなく。」
「あなたもお元気そうで…聖仁(キヨヒト)。」
「本当に。」
御名を聖仁とおっしゃる帝のお顔立ちは皇太后様によく似て中性的で、背格好は院にていらっしゃり、非のつけどころのない御容姿です。
御年十五歳というお若さではありますが、立派な青年でいらっしゃいます。