平安物語=短編集=【完】
「姫宮も、お元気ですか。
実の妹のように大切に思っておりますのに、相変わらず私を遠ざけようとなさるのは情けのうございます。」
姫宮が皇太后様の許へいらっしゃった時、当時東宮でいらした帝は既に八歳でいらっしゃいましたので、皇太后様が男女の隔てを置いてお育てになったのを恨んでおいでなのです。
実際の血縁では伯母と甥にあたり結婚できる間柄であるため、妙な噂などが立つのをお嫌いになったのでしょう。
皇太后様が微笑むばかりで何も仰らないので、院が取りなすように他の話を始められました。
それからは親子三人での団欒が始まり、夜が更けてから、帝は用意された御寝所へと帰ってゆかれました。