花火
痺れを切らせて、再び携帯電話のメール画面を開いたのは、夜九時前だった。
『まだ帰ってないの?遅くなると心配だし、早めに連絡してね』
点けっぱなしのテレビからは、様々な映像と音が流れていた。だがそれらの全ては、一切思考回路に留まることなく流れ去っていった。うんともすんとも言わない携帯電話の画面とのにらめっこが三十分程続き、ようやく一通の返事が届いた。食らい付く様にメールを開いた。
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