花火
墓の掃除をし、花束と線香を手向けると、両手を合わせてゆっくりと目を瞑った。きっとそんな悪い病気ではない。私は将来嫁ぎ、子供を産み育て、やがてその子供も自立し結婚し、孫が産まれ、沢山の人に看取られながら逝くのだ。そしてその家の先祖代々のお墓に入る、それは長野の墓だといいな。私はこの墓に入ることはない。だからきっとそんな悪い病気ではない。少なくとも、命にかかわるような重病ではない。