花火
家に戻ると、お母さんは忙しくお昼の準備を始めた。お昼と言っても、時間はすでに三時を過ぎていた。出てきたそうめんを見るが、あまり食欲は湧かなかった。朝から何も食べていないのに、最近はこの状態が普通になりつつあった。またかと思い、あまり気にしなくもなっていた。だが今日はそのことが深い落胆へと誘った。医者の一言が胸をざわつかせた。紹介状を出す、か。
両親にこれ以上心配をかけさせたくないと思い、どうにか食事だけは取ろうと思ったが、二口三口啜るだけで、胸が一杯になってきた。諦めて箸を置くと、疲れたのでちょっと休むと言って、自室に向かった。
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