花火
『来年の江戸川区の花火大会も、二人で行くって約束したよね?クーラーボックスを持って、ビールをキンキンに冷やして、二人で浴衣を着て行くって約束したよね?忘れてないよね。俺はその約束を果たすために、春香の傍にいることにしたんだ。断られても、嫌だって言われても、約束を果たす。決めたんだ』
時刻は午前二時を回った頃だった。少なくとも朝までは返事は来ないだろう。二度と返事は返ってこないかもしれない。それでもいい。強引にでも駆けつけてやる。高ぶる精神を抑え眠ろうと思い、冷蔵庫に向かいビールを取り出した。一口飲んだところで、携帯電話は輝きを放った。
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