花火
『じゃ、何て言って欲しかったの?ありがとう?好きだよ?愛してる?ずっと一緒にいて?そう言って泣いて喜んで欲しかった?』
その全てを期待し、求めていた。だがそれだけのために、こんな大胆な行動が取れる訳がない。
『俺は真剣なんだ。春香の傍に、なるべく近くにいたいと思っている。夜中メールで言ったことに嘘はないよ。もう自分の気持ちを誤魔化したくないし、逃げたくもないんだ。だから、一日でも早く春香の傍に行きたかった。本当は春香もそれを望んでいるのが分かるから。春香、何に対してそんなにも強がっているの?』
何を言っても決め手を欠くような、どんな言葉も行動も、空回りするだけのように思った。こんなにも人は無力なのか。その壁が大きく、不滅な物であればある程に。
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