花火
津田沼駅に着いたのは、引っ越し業者との待ち合わせ十五分前の、十一時四十五分だった。まだどこか他人行儀な雰囲気のこの街も、すぐに受け入れてくれることだろう。これからどれくらいの間お世話になるか分からない不動産屋へと顔を出し、鍵を受け取った。車で一度行っただけなので、地図をもらい早速新しい住まいへと向かった。丁度五分程度で新たなマンションに到着すると、すでに大型のトラックが待ちわびていた。すぐに鍵を開け、荷物を運び入れてもらった。ダンボールは適当に部屋の隅に積み上げてもらい、ベッドなどの大型の家具は、場所を指示し設置してもらった。全ての作業が終わり、引っ越し代金を支払うと、アッという間に去って行った。季節外れの小さな台風の様だったな。台風が過ぎ去っても、嵐の様な一日はまだまだ続いた。荷解きもしないまま、すぐに家を飛び出した。