花火
『本当に引っ越してきたんだね。家にも来たって、さっきお父さんとお母さんから聞いた。ということは、あれは夢じゃなかったんだ?本当にたっくんが両手を握りしめてくれてたんだ?あの時夢を見てたの。浴衣を着て、花火大会に行っている夢を。それで帰り際にね、約束したの、また来年も二人で来よう、浴衣を着て冷えたビールを持って、って。今年の花火大会の帰りの様に。二回も同じ約束をしたのに、私は守れないかも。たっくん、その時は許してくれる?』
『二人でまた来年も花火大会に行くんだよ。でまた来年も、再来年も、二人で行こう、って約束するんだよ。そうしたら病気になんか負けてられないだろ?明日何時に袖ヶ浦の駅に着くか分かったらまた連絡するから、お父さんにお向かえよろしくお願いします、って伝えておいて。まだ熱あるなら、今日は早く休んで』
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