花火

「おじゃまします」
上手く笑えていただろうか？どことなくぎこちないのは、久々の面と向かった再開からだろうか？春香とその両親という、異色の組み合わせからだろうか？その両方が五対五で混ざり合った様な、複雑なぎこちなさだと推測した。
「拓哉さんいらっしゃい。今お昼ご飯持っていきますから」
何か手伝おうかと申し出たとこ、もう少しだから座って待っていればいい、そう言われ、素直に応じた。
「母さん、先ずはビールを出してくれ。グラスは二つな」
「あなた、昼間から飲むんですか？」
「そうよお父さん、いくら休みだからって、肝臓悪くするよ」
「いいじゃないかこんな日くらい、拓哉君も飲むだろ？」
そんなことを言われたら、断る訳にもいかない。
「あっ、ではいただきます」
「たっくんも困ってるじゃない」
まったく、そう言って頬を膨らませていた。今日の春香は元気だな。僕と二人きりの時でも、家族の前でも、昔から元気一杯な子だったのだろう。「しょうがない人ね」そう言いながら瓶ビールとグラスが二つ、軽いつまみがテーブルに運ばれてきた。