花火
「はい、どうぞ」
そう言って春香がグラスにビールを注いでくれた。たった五○○ミリリットルの瓶が、やけに重たそうに見えた。
目の前に並んだ料理は野菜がメインだった。青じそドレッジングのかかったサラダ、ネギやらミョウガなどが沢山のった豆腐、がんもどきの煮付け、キンピラゴボウ、マグロの刺身、それに味噌汁に白いご飯。ご飯は春香が食べ易い様にだろう、若干水が多めの様だった。精進料理と病院食の中間、といった内容だ。質素だが、どこか落ち着く味がした。
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