花火
お父さんは始めからこのことを、今日話そうと決めていたのだろう。僕の前で、そして春香の前で。そのためには、ある程度の勢いが必要だったのだろう。そうじゃなければ、こんなことを切り出すことは出来ない。自分なら出来ないと思った。
お父さん、お母さん、春香、誰も涙を流さなかった。きっとみんながそれを受け入れ、暗黙の了解としていたのだろう。
強くなろう。強くなるということが、涙を流さないことや、弱音を吐かないことだとは思はない。ただ一つ彼らを見ていて分かった様な気がした。強くなると言うことは、受け入れることなのかもしれない、と。
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