神威異伝
自分でも、何でこんな行動に出たのか十夜には分からなかった。
でも、こうでもしないといつもの理緒がもう戻って来ないのではないか……と変な感覚に、十夜は陥っていたのだ。
「ごめん、ごめんな。理―…」
「……燃えてる、の…」
不意に、理緒が呟いた。
その声に重なる様に、十夜の背後で物音がした。
その物音のすぐ後に、声が響く。
「理緒…」
……日向の呟きが、辺りに虚しく響いた。
「燃えてるの……」
虚ろな目をしたまま、理緒は先程と再び同じ言葉を呟いた。
十夜は黙ったまま、理緒を抱きしめている腕の力を強くする。
日向は、立ち尽くしたまま動かない。