神威異伝



持っていた松明を、焚き火の中に放り投げながら日向が言った。


「理緒をちゃんと寝かせてあげよう。…十夜、頼むよ」
「あ、あぁ……」


小さく頷くが、十夜は動こうとしない。

日向が首を傾げる。


「十夜?」
「……なぁ、日向」


自分の腕の中に眠る、理緒を見つめながら十夜が口を開いた。


「理緒に、一体何があったん――……」

グウゥウウゥゥ〜ッ


そのまま、ずっと気になっていた事を日向に問いかけようとした十夜だったが……

己の腹から響いた腹の音により、言葉が掻き消された。


「…………。」
「…………。」


暫しの間、二人の間に沈黙が流れた。


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