神威異伝
黙って耳をすませていた十夜が、口を開く。
「こっちの方から聞こえるぜ」
そう言って十夜が指差したのは、三人が進むべき道のりから少し離れた方向。
日向が唸る。
「うーん……。水も補給しておきたいし、行ってみるか?」
「俺、賛成っ」
十夜が嬉しそうに言うと、理緒が溜め息を吐いた。
「十夜、あんた泳ぐつもりでしょ」
理緒の言葉に、十夜はきょとんとした顔で首を傾げた。
「え?そんなの当たり前だろ?」
「おいおい、遊びに来たんじゃないぞ?」
小さく笑いつつ日向が言うと、十夜が声を張る。
「良いだろ?ちょっとぐらいさ!!って訳でお先にっ!!」
言い終わらない内に、十夜は水の音がする方へと駆けて行った。
「ちょっとっ!!十夜…」
「良いさ、理緒。俺らはゆっくり行こう」
「まったく……子供なんだから」
そう文句を言いつつも、理緒は小さくだが微笑んでいた。
日向と理緒は、ゆっくりと十夜の通って行った道を辿って行った。