神威異伝




「うっわぁあー!!」


木々の間を抜け切った十夜は、思わず声を張っていた。

目の前の景色が、凄いものだったから。


今までの鬱蒼とした山の中とは違い、目の前に広がるのは……水。

小石や砂利が広がる平地に、視界に入りきらない程の川。



「すっげぇ!!」


十夜は目を輝かせ、荷物を下ろす。

マントと上着を脱ぎ捨て、十夜は上半身裸体になった。

正確に言えば、左腕だけは手首から肘にかけて包帯がびっしりと巻かれたままである。


「ひゃっほおぉーっ!!」


ザッバァーン!!


十夜は嬉しそうにそう叫び、派手に音をたてながら川の中に飛び込んだ。

夏がだいぶ近づいて来ている頃で、まだ少し川の水は冷たいのだが……十夜にはそんなの関係なかった。


「ぷっはぁ!!」


一度川から顔を出し、すぐに息を深く吸うと十夜はまた川の中を潜り始めた。

両足で器用に水をかき、川の流れに逆らうように泳いでいく。


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