神威異伝




そう、川岸に居たのは……子供。

うつ伏せになった状態で、腹から上の方だけ川から出ていた。


「おい!!何やってんだ!!?」


十夜が泳ぎながら近寄りつつ声を張るが、子供は返事をしない。

……それどころか、身じろぎ一つもしない。


「くそっ!!」


舌打ちを漏らし、十夜が全力で泳ぎ子供の元に急ごうとする。

足が川底に届く様な深さになると、十夜は体を起こし川底を走った。


「おい!!大丈夫か!!?」


子供の元に辿り着いた十夜は、その体を揺らしながら叫んだ。

子供は、普通の男の子だった。


……その髪色と、体の状態を除いては。



まず、髪の色。

川の水で額や頬に張り着いている髪は、青がかった黒だった。


白月村と白山村では、一度も見た事のない髪の色。

髪が茶色の理緒と同じ様に、この国では珍しい色なのかもしれない……と十夜は思った。

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