神威異伝
黒いマント。
その単語が暁の口から出た瞬間、三人は目を合わせた。
この旅に出る原因となった、嘉禄達が着ていたマントが……漆黒の色だったから。
日向が尋ねる。
「暁……その黒いマントの奴ら、何かおかしな所なかったか?」
「おかしな所?……うん、あった」
一瞬、目を点にした暁だったがすぐに頷いた。
「あいつら、臭いが変だった」
「臭い?」
十夜が繰り返して呟くと、暁が言った。
「腐った臭いだった、あいつら。肉が腐った臭い」
その暁の言葉を聞き、理緒が小声で日向に問いかける。
「暁を襲ったのは“影”じゃないって事かしら?」
日向は首を横に振る。
「いや“影”は人の屍肉と泥で作られていると、村長が言ってただろ?」
理緒は賢雄が言っていた事を思いだし、頷く。
「だったら“影”が腐った様な臭いをしていても、おかしくはない…」