神威異伝



確かに、嘉禄が従えていた“影”は人の屍肉と泥に呪術をかける事により作られた人形の様なもの。

その屍肉から臭いがしても、おかしくはないのだが……


「……臭いなんてしてたか?」


日向の問いかけに、理緒は首を横に振る。


「分からない。でも、そんなに臭いなんてしてなかった様な気がするんだけど……」
「そうだよな、俺もそんな憶えがないんだよなぁ」


……などと、日向と理緒がひそひそと話しているのに気づかないまま、暁は胸を張って言った。


「オレ、鼻はきくんだ!!お父にも負けないんだぞ」
「お父……お前の親父さんか」


十夜がそう呟くと、暁が大きく頷いた。


「うん!!オレ、お父と滝の近くに住んでるんだ」
「……暁が黒いマントの奴らに襲われた滝の近くか?」


その問いかけに、暁はうつ向いて小さく頷いた。

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