神威異伝



日向が声を張る。


「ありがとう、助かるよ十夜」
「おぅ」


十夜の少し後ろで荷物をまとめいた理緒は、自分の荷物をからい、十夜に言った。


「十夜、あたしも持―……」
「良いんだよ」


その理緒の言葉を遮る様に、十夜が口を開いた。


「女の子に重いもん、持たせられっかよ。…俺なら大丈夫だ、気にすんな」


ほら行くぞ、と言って十夜は少し先を行く日向達の元へ歩き出した。

その背に向かって、理緒はぽつりと呟いた。


「……ありがと、十夜」



不意に、十夜の足が止まる。

驚いた理緒の肩が、ピクリと揺れた。


そして、十夜が顔だけ振り向いた。


「理緒、さっき何か言ったか?」
「……っ、な、何も!!」


理緒が早口でそう応えると、十夜が首を傾げる。


「そうか?」
「そうよっ」


キッパリと言い放ち、理緒は早歩きで十夜を抜き、日向達の所へと向かって行く。


「お、おいっ待てよ!!」


十夜も慌てて理緒の後を追った。


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