神威異伝



「暁、お前は滝の近くに住んでるって言ってたけど……村の方には行かないのか?」
「うん、村に行くのはお父のする事だから。オレ行かないんだ」


川沿いを歩きながら、日向と暁はそんな会話をしていた。

二人の少し後ろを歩く十夜が、暁に尋ねた。


「なぁ暁、お前の母さんは?」
「…………オレがまだ小さい頃に、死んじゃった」


暁の言葉に、三人は思わず息を飲んだ。

……重苦しい空気が、四人の中に流れる。


「悪ぃ………ごめんな、暁」


頭を下げ謝った十夜に、暁が首を横に振った。


「ううん!大丈夫だよ!だって、オレにはお父がいるもんっ」


理緒が口を開く。


「ねぇ、暁のお父さんってどんな人?」


その問いに、暁はわざわざ後ろを振り向いて笑顔で応える。


「あのね、お父はね大きくて強いんだよ!!足も速くて……怒るとこわいけど、優しいんだっ!!」

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