神威異伝



それを聞いていた日向が、背中に乗せている暁の方を見て微笑んだ。


「良いお父さんだな、暁のお父さんは」
「うん!!それにね、オレお母からもらった―……」


明るく返事をしていた暁だったが、その声はだんだん小さくなり、次第には消えていった。


「暁?」


何かを探す様に胸元をペタペタ触ったり、服の中を覗き込む暁に、十夜が声をかける。



「……ない」


暁が、ぽつりと呟いた。


「何がないんだ?暁」


日向が問いかけると、暁が焦っているのか早口で応えた。


「お母からもらった首飾り……っ、探さなきゃ!!」


言い終わらない内に、暁は日向の背中から跳び下りた。


「おい!!暁、待てっ!!」


日向の声に耳を貸さず、暁は来た道を駆けて行く。


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