神威異伝
水が水を叩きつける音……まるで滝の様な音が、大きくなってきた。
その音が大きくなるにつれ、滝に近づいて来たんだと二人は気づく。
「なぁ、理緒」
日向達と分かれ、だいぶ上流の方まで来た頃に十夜が呟いた。
「なに?」
理緒が返事をすると、十夜が言った。
「……なんで、あいつら白月村に来たんだろうな」
十夜が言う“あいつら”が誰か分かった理緒は一瞬、目を見開いた。
“あいつら”は……嘉禄達の事なのだ。
理緒は、考えた事を素直に言う。
「分からない……。でも、あいつらは何かを取りに白月村に来たんだと思う」
あの時、村の入り口で嘉禄が口にした言葉を、理緒は思い出す。
『忘れ物を取りにきたんですよ…お嬢さん』
十夜は黙って理緒の言葉に、耳を傾けた。