神威異伝
「でも、俺には―……」
「そんな人はいないから……なんて言うつもり?」
十夜が目を見開く。
……理緒が言ったのは、まさに十夜が言おうとしていた言葉だったから。
思わず振り返ろうとした十夜の背中に……
「ぃ、ってえぇ!!?」
痛みが走り抜けた。
十夜は思わず数歩、よろける。
理緒が自分の背中を蹴り飛ばした……という事に気づくのに、さほど時間はかからなかった。
「つぅ…この……っ、何すんだよ理緒!!」
涙目になりつつ十夜が振り返ると、腕組みをして怒りのオーラを全身から発する理緒がそこにいた。
「十夜……あんた、馬鹿じゃないの?」
怒りのオーラを発する事を止めないまま、理緒が口を開いた。
「あんたが、そんなに弱虫だとは思わなかった」
「なっ!!誰が弱虫なんだ……」
「弱虫よ」
十夜は反論しようとしたが、それすら遮り理緒が即答する。