神威異伝
十夜の言葉を黙って聞いていた黒狼が、口を開く。
『それも作戦の一つだったら、どうする?少年』
「んー……まぁ、そん時はそん時だな」
脳天気とも取れる十夜の発言に、黒狼は笑う。
『成程、面白い考えだな少年よ。気にいった』
「……奇遇だな、俺もあんたは良い奴だと思ってたんだ」
呆然とそれを聞いていた理緒が、慌てて口を開く。
「あ、あの……あたし達この先にどうしても行きたいんです。だから―……」
「お父!!」
だが、理緒の問いかけを遮る様に声が響いた。
その声は――……
「暁!!?」
十夜が後ろを振り向くと、自分達が来た道を駆けて来る暁がいた。
そのすぐ後ろを、日向が走る。
十夜達の横をすり抜け、暁が黒狼に勢いよく抱きついた。
「お父ただいま!!」
暁が笑顔で言ったその言葉に、三人は目を見開く。
『おかえり、の間違いではないか?暁』
「ぉ、狼が喋ったあぁっ!!?」
事情を把握出来ていない日向は驚きの声をあげ、数歩後ずさる。