神威異伝



十夜の言葉を黙って聞いていた黒狼が、口を開く。


『それも作戦の一つだったら、どうする?少年』
「んー……まぁ、そん時はそん時だな」


脳天気とも取れる十夜の発言に、黒狼は笑う。


『成程、面白い考えだな少年よ。気にいった』
「……奇遇だな、俺もあんたは良い奴だと思ってたんだ」


呆然とそれを聞いていた理緒が、慌てて口を開く。


「あ、あの……あたし達この先にどうしても行きたいんです。だから―……」
「お父!!」


だが、理緒の問いかけを遮る様に声が響いた。

その声は――……



「暁!!?」


十夜が後ろを振り向くと、自分達が来た道を駆けて来る暁がいた。

そのすぐ後ろを、日向が走る。


十夜達の横をすり抜け、暁が黒狼に勢いよく抱きついた。


「お父ただいま!!」


暁が笑顔で言ったその言葉に、三人は目を見開く。


『おかえり、の間違いではないか?暁』
「ぉ、狼が喋ったあぁっ!!?」


事情を把握出来ていない日向は驚きの声をあげ、数歩後ずさる。


< 202 / 237 >

この作品をシェア

pagetop