神威異伝



暁が答える前に、黒狼が口を開いた。


『確かに、私がこの子の父だ』


はっきりと告げられた言葉に、十夜達は息を飲む。

黒狼が十夜達を順に見つめ、呟いた。


『しかし、暁の知り合いとなればこの姿でいるのは失礼かな』
「へ?」


十夜がきょとんとした顔で首を傾げる。



その刹那……

黒狼が突然、ボフンッという音を起てると同時に煙に包まれた。


「こ、黒狼っ?暁!!?」


広がっていく煙を吸わない様に、十夜は腕で口を押さえながら叫ぶ。


『大丈夫だ少年、気にするな』
「オレも平気だよー」


煙の中から響いた黒狼と暁の声に、十夜は胸を撫でおろす。


白山に、一陣の強い風が吹いた。

その風は、黒狼と暁を包んでいた煙をも簡単に吹き飛ばす。



そして、そこに立っていたのは一人の少年と……一人の男。

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