神威異伝



とっさに左腕を押さえる十夜だったが、諦めた様に小さく笑った。


「流石だな。……日向、理緒、話しても良いな?」


日向は黙って頷き、理緒は視線を反らしたまま何も言わない。

それを肯定の意として受け取った十夜は、澪と暁に話し始めた。



自分が、記憶喪失である事。

倒れていた自分は理緒に助けられ、白月村で世話になった事。

その白月村に数日前、嘉禄達が現れ……“呪い”をかけられた事。


そして、その“呪い”を解くために玄武国を目指して旅をしている事。



十夜の話を黙って聞いていた澪が、十夜に尋ねた。


『十夜、もし良かったらその“呪い”をかけられた左腕を……見せてくれないか?』
「……あぁ」


小さく頷き、十夜は袖を捲り上げ左腕の包帯を外した。

そうして露になる、十夜の左腕にかけられた“呪い”。


手首から肘にまで黒い蛇が巻きついた様な……黒い痣。


「っ!!」


初めて見る“それ”に、暁は思わず目を反らす。


澪は十夜の左腕をまじまじと見つめて、呟いた。


『……初めて見る“呪い”だな。どの様な“呪い”なのかは分からないが、強い呪術の力を感じる』

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