神威異伝
「澪も知らないか」
左手首を握り、十夜が溜め息を吐く。
少し唸り、澪が言う。
『だが、その“呪い”にかけられた力が凄まじいものだというのは分かる。本当に、この様な“呪い”をかけられる程の力を持つ者がいるとはな……何百年ぶりだろうな』
「な、何百年!!?」
理緒が目を点にして、声を張る。
暁が笑顔で言った。
「お父ね、今年で二四二歳になるんだよ」
「に、二四二歳……っ」
人間では有り得ない年齢に、日向は口をポカンと開けた。
『……力になれなくて、すまんな』
そう呟いた澪に、十夜は首を横に振る。
「あんたは悪くない、謝らないでくれ」
『……ありがとう。そうだ、三人共今日は泊まっていくと良い』
「え?でも――……」
『もう夕暮れ時、今から山を下りるのは得策ではない。まぁ、寝床と飯しか用意出来ないがな』
理緒が言い終わるよりも先に、澪が口を開いた。
暁が、嬉しそうに声を張る。
「お父のご飯、おいしいんだよ!!」
「へぇー、そりゃ楽しみだな」
小さく笑い、十夜が言った。