流れ星との約束
「やるのは構わんけどさ……簡単にエースなれると思うなよ」
 
 
 宗も、今度は遥斗の言葉を聞いて笑ったりしなかったが、その目は真剣なものだった。
 
 
「分かってる。素人が簡単にエースなれたら怖いわ。だから努力すんねん」
 
「例えば?」
 
「えっと……」
 
 
 例えば自分は何をどう努力するのだろう。遥斗は自分自身に聞いてみたが、答えはすぐには出てこなかった。
 
 
「な? 素人は何を努力したらいいかも分からへんねん。とりあえず今度ボールを受けてやるから、一緒に課題見つけようぜ」
 
 
 いつも悪魔に見えていたというわけではないが、今日の宗が遥斗には天使に見えた。たしかに、素人の遥斗には何をすればいいのか全く分からない。良い友達を持ったと、遥斗は改めて思った。
 
 
「やっとやな」
 
 
 宗が呟いたので前を見てみると、見覚えのある門と校舎があった。会話に夢中で気がつかなったのだろう。その門には、『綾波北高等学校』と彫られたプレートがはめ込まれていて、保護者と来た生徒が写真を撮られたりしている。
 
 遥斗らは、保護者と来ていないのでさっさと門をくぐり、中に入っていった。
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