Bloody Kiss
「そんなことくらい、俺自身がよく知ってる」

「恢!」

恢は俯せの状態からゴロリと反転し、仰向けになって自嘲気味に笑った。

「それなら話は早い」

男は恢の方に向き直り、ゆっくりと近付いていく。

最悪な予感がする。

この男は恢を殺す。
あの殺気が冗談じゃないことくらい私にだってわかる。

止めなくちゃ!

動かす度に身体中のあちこちが悲鳴を上げるが、それを無視して恢のもとへ急ぐ。

「俺がここで終わらせてやるよ」

男の銃が恢の頭を捕らえる。

間に合って!

痛む身体を必死に動かした。

「止めて!!」

ギリギリのところで銃と恢の間に割り込んだ。そして恢を覆い隠すように自分の身体を盾にする。

男を見上げながら睨み付ける。

「退かなきゃ君も撃つよ?」

「絶対退かない!」

またあの冷酷な瞳に見下ろされる。それだけで身体が震える。
逃げ出したい衝動を抑え込み男の前に立ちふさがる。

「…………」

暫く膠着状態が続いた後、男は銃を下ろした。そして男は目を閉じ、深いため息を吐いた。

「君はバカだ。いつか後悔する。ここでこの吸血鬼を殺さなかったことを」

そう言った男からは殺意が消えていた。

「後悔なんてしない!」

男の目を見てハッキリ告げる。

「誰にも恢を殺させない!」

「なら精々抗えよ、運命ってやつにさ」

男はそれだけ言い残し森の奥へ消えていった。



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