Bloody Kiss
ふと頭を撫でていた左手が首筋へ下りてきた。

「……恢?」

びっくりして顔を上げると、恢の紅い瞳とぶつかった。月の光を受けてギラギラと輝く瞳。それはバケモノの眼を連想させた。

恢はゆっくりと上体を起こし、そのまま顔を近付けてくる。
まるでキスをするような近さに頭が真っ白になる。

「……すまない」

目前に迫った唇が小さく動いた。
その唇は私の唇に触れることなく、視界から消えていく。

首筋にひんやりとした唇が触れて、牙が突き立てられた。ブチッという皮膚を破る音とそれに伴う痛みが走る。

「痛っ……」

とっさに握っていた恢の右手を離し、遠ざけようと両手で恢の胸を押すが、びくともしない。それどころか両手が自由になった恢に抱き寄せられる。

耳元でジュルジュルと血を吸われる音がする。
頭がぼうっとしてくる。

「はぁ……。恢……」

「ごめん……」

朦朧とする意識の中、恢の背中に腕を回す。



アイツを誘き出すためのエサで良い。

血を提供するだけの食料でも良い。

だから


私を必要として……。



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