Bloody Kiss
「どうしてっ……」

「やっぱりそうか」

やっぱり?
……まさか。

「カマ、掛けたのね?」

青年は何も答えなかった。
いや、それが答えだ。

まんまと嵌められた。

「最悪」

忌々しく呟いた。

「あれだけの傷を負って吸血衝動を抑えられるわけがない。逆に血を吸われた君が生きていることの方が驚きだよ。下手をすればもう二、三人死んでいたかもしれない」

「よく、知ってるのね」

青年の話を聞きながら、私は自分の無知さを思い知った。吸血衝動があるなんて知らなかった。恢はいつだって、そんな素振り見せなかった。ううん。恢は隠していたのかもしれない。私を怖がらせないために。
私は、恢が吸血鬼だってことをちゃんと理解していたのだろうか。

「私は何も知らない。ヴァンパイアのことも、恢のことも……」

空になったカップに目線を落とす。

知らなきゃいけない。
恢の傍に居たいから。

意を決して青年を見つめた。

「……ねぇ、バケモノって何なの?」

散々敵扱いしたくせに教えを請うなんて、虫が良すぎるだろうか。
青年は未だ愛想の良い笑みを浮かべていた。


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