Bloody Kiss
瀕死の恢を救う方法はただ一つ。姫として覚醒した私の血を飲ませれば良い。姫の血は特殊で、血を与えることで他の吸血鬼を隷属させることができる。だから……。

恢の側に落ちている刀を拾う。

「アリア様っ!?」

これがシルバークロス社製の対吸血鬼用武器だってことも、これで負傷したら修復に時間が掛かることもわかってる。ガーディアンであるリートが心配するのは尤もだろう。それでもこうするのが一番だ。

剥き出しになっている刀身を握り締める。

「っ!!」

覚悟はしていたけど、やっぱり痛いものは痛い。でもこれで条件は揃った。
刀から手を離すと、赤いものが流れ出す。そのまま恢の傷口の上まで持っていき数滴垂らす。私の血が触れた所から傷の修復が始まる。

「やめ……ろっ……!」

吸血鬼に助けられるなんて、恢からしたら屈辱なのかもしれない。でも、私は恢を失いたくない。消滅させたくないの。これは私のわがままだ。

恢の言葉を無視して次の行動に移す。
いまだ血が流れ続けている右手を恢の顔の側まで持っていく。

恢は苦悶の表情で顔を反らした。

傷を負っている今、血の誘惑は相当なものだろう。それでも拒むのはやっぱり消えたいからなの?

「飲んで、恢」

これは『命令』ではない。『お願い』だ。強制力はないから恢は顔を反らしたまま。

恢を生かす。そのためなら憎まれたって構わない。

溢れだした血を口に含み、恢の頬を両手で挟み込み正面を向かせ、そのまま口付ける。少しの隙間を無理矢理抉じ開け赤い液体を流し込む。
ごくりと喉が鳴ったのを確認して唇を離した。上手く流し込めなくて口元から零れた赤い雫を手の甲で拭う。

「…………」

恢が何か言おうとしたけど、それが言葉になる前に気を失ってグッタリとしてしまった。
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