Bloody Kiss
一頻り声を殺して泣いたあと、大きく息を吸って上を見上げる。木々の隙間から覗く太陽が今までとは違う凶暴な眩しさとなって襲ってくる。吸血鬼は太陽が苦手って何かで見たことがあったけど、本当なんだ。あまりの眩しさに立ち止まってしまう。己の身で体感することになるとは思わなかったけど。

私はもう人間じゃない。

わかってる。
わかってるけど、人間だった自分を捨てきれない。吸血鬼だってことを認めきれない。吸血鬼を狩る側だったから余計にそう思ってしまうのかな。

「アリア様?」

突然立ち止まって不審に思ったのだろう。後ろからリートの気遣うような声が聞こえた。

「大丈夫、ちょっと眩しかっただけ。急ごう」

立ち止まってる時間はない。

急いで屋敷に戻り荷物をまとめる。一番大きな鞄に必要なものを詰め込んでいく。入りきらないものは全部処分しなくちゃ。と言ってもずっと旅をしていたから要らないものはあまりないんだけど。

「これは、どうしよう」

旅用の鞄と共に出てきたのは、ついこの前買い足したばかりの銀の弾丸が入ったアタッシュケース。ケースを開けると、一つの欠けもなく弾丸が整列していた。
今の私には弾丸に直接触れることも出来ない。
これから向かうのは吸血鬼達の住まう場所。その中でも支配者が集う王城。そんなところに凶器を持ち込んでも良いのだろうか。

「身を守る術は多いに越したことはありません」

そう言ってリートがケースを閉じて、そのまま右手に携えた。つまり持っていっても良いってことなんだろう。
そっとスカートの奥に隠されたホルダーに触れる。銃自体に特別な術は施されていないからまだ私にも使えるはず。守護者であるリートいる今、この銃を使うことはないと思うけど、御守りとして持っておく。

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