Bloody Kiss
リートが用意してくれた個室に通されて、やっと一息ついた。
どうやら一番高い個室のようで、ベッドルームの他にシャワールームやリビングのような部屋までついていた。

発車を告げるベルが鳴り、ゆっくりと列車が動き出した。
車窓を流れる景色は速度を上げていくけど、目的地まではまだまだ掛かる。

時間はたっぷりあるから改めて蘇った残酷な記憶を整理していく。本音を言えば、思い出したくもない。でもあれは紛れもない事実で、張本人である私はその罪を背負う責任がある。逃げるわけにはいかない。

目を閉じて過去の記憶を再生する。



二年前、誕生日の夜。
来客を知らせるチャイムが鳴り、玄関へ向かった。扉を開けると、見知らぬ男が笑顔で立っていた。

『お誕生日おめでとうございます、お姫様』

そう言って差し出されたのは、血のように真っ赤な薔薇を集めた花束。

『わぁ!綺麗!それにいい香り』

何の疑いも持っていなかった。
誰かからの美しい薔薇の花束の誕生日プレゼント。
そう、思っていた。

胸一杯にその香りを吸い込むと、くらくらするような、不思議な感覚に襲われた。ダメだとわかっているのに香りを求めずにはいられなくなる。もう何も考えれなくなっていた。

今思えば、この時点で操られていたのだろう。

『我が主からの誕生日プレゼントです。どうぞお召しあがりください』

促されるまま差し出された赤い液体が揺れる小瓶を受け取り、液体を飲み干す。

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