拝啓、ばあちゃん【短編】
俺が小学生の頃、両親は離婚している。


公務員で真面目な父親と、スナックで働いていた母親。


どう考えても上手くいかなさそうな二人だが、お互い嫌いで別れた訳ではないという。


その証拠に、二人は未だに食事に行ったり、旅行に行ったりしているのだ。


俺が思うに、両親の不仲ではなく、俺達の家族を取り巻く周りの親戚達との関係が、離婚の原因だったんじゃないかと思う。


誰かからそう聞いた訳でもないし、あくまで俺の推測だけど。


父親に引き取られた俺は、中学を卒業するまでは、父親と一緒に暮らしていた。


その後、母親の元へ移り、18歳になる頃には一人暮らしを始めた。


「ていうか、今日は急にどうしたんさ?」


それは3日前、メールで有無を言わさず、今日の時間と場所を指定してきた母を、不思議に思ったからだった。


いつもなら、まずは俺の予定を聞いてくるのに。


「ああ…」


軽く頷いた母さんは、俺の顔をジーッと見つめた。


その視線と、もったいぶるように煙を吐き出す様を見ても、その理由は見当もつかない。


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