アッパー・ランナーズ〜Eternal Beginning〜
「ったく何なんだよあの偏屈ジジイは。こんなもん作るのに徹夜しやがって」
田んぼ道をテクテク歩くルークの胸には、シルバーの台座に固定された赤褐色の羽……いや、蝙蝠のそれのような翼が朝日を浴びて不思議な艶で輝いている。
結局朝まで工房から出てこなかったジジイに、朝一番で渡されたのがこのネックレスだった。
目の下にクマをつくってやつれ顔で放った第一声は、
「卒業祝いじゃ!」
だった。
「もう年なんだから……」とやんわり戒めたところ、入れ歯が飛び出さんばかりの勢いで反撃にあい、着の身着のまま飛び出してくる羽目になってしまった。
げ。財布とベルト忘れた。
ベルトはともかく、生徒手帳入りの財布が無くちゃ、図書館も遊技場もその辺の露店ですら飾り物同然だ。
かと言って今家に帰ったら、それこそあの頑固ジジイの餌食だ。せっかくの春休みが一日中作業の手伝いで潰れちまう。
ま、時間が経てばカナが説得に出るだろ。
あとはほとぼりが冷めるまでどこで時間を潰すかだが……。
―――フワリ
ふと気づけば風が優しく語っている。
ん、どうやら西からの強い風が吹くようだ。
「西風か。雨の気配は……無いな。うし!あそこ行くか!」
強い西風の時は雲が月の重力に引かれ、綺麗な雲の流れ(ライン)を描く。
小さな頃からこの囲われた空を見続けて来たぼくのマメ知識。
目指すは街の中心、最上部!
昨日から1日ぶりの廃鉄橋目指して、ぼくは片道2時間の距離を走り始めた。
田んぼ道をテクテク歩くルークの胸には、シルバーの台座に固定された赤褐色の羽……いや、蝙蝠のそれのような翼が朝日を浴びて不思議な艶で輝いている。
結局朝まで工房から出てこなかったジジイに、朝一番で渡されたのがこのネックレスだった。
目の下にクマをつくってやつれ顔で放った第一声は、
「卒業祝いじゃ!」
だった。
「もう年なんだから……」とやんわり戒めたところ、入れ歯が飛び出さんばかりの勢いで反撃にあい、着の身着のまま飛び出してくる羽目になってしまった。
げ。財布とベルト忘れた。
ベルトはともかく、生徒手帳入りの財布が無くちゃ、図書館も遊技場もその辺の露店ですら飾り物同然だ。
かと言って今家に帰ったら、それこそあの頑固ジジイの餌食だ。せっかくの春休みが一日中作業の手伝いで潰れちまう。
ま、時間が経てばカナが説得に出るだろ。
あとはほとぼりが冷めるまでどこで時間を潰すかだが……。
―――フワリ
ふと気づけば風が優しく語っている。
ん、どうやら西からの強い風が吹くようだ。
「西風か。雨の気配は……無いな。うし!あそこ行くか!」
強い西風の時は雲が月の重力に引かれ、綺麗な雲の流れ(ライン)を描く。
小さな頃からこの囲われた空を見続けて来たぼくのマメ知識。
目指すは街の中心、最上部!
昨日から1日ぶりの廃鉄橋目指して、ぼくは片道2時間の距離を走り始めた。