アッパー・ランナーズ〜Eternal Beginning〜
『這う者』クリーパー

『歩む者』ウォーカー

『操る者』ライダー

『飛ぶ者』フライヤー

そして……
『天の使い』エンジェラー


四の種族と一の隷属によって構成されるオーバー・ザ・ブルー(この世界)は、その昔“空の怒り”と呼ばれる大地殻変動によって4つの空に分け隔てられた。

下層から順に

地空
中空
虚空
天空

階層に分けられたそれぞれの空には、大小様々な大きさの島状に分断された大地が浮かび、陸を持ち上げるほどの凄まじい“空の怒り”を生き延びた人々は、その島々独自の文化を築いていった。



……っとこんなとこまでが学校で、思い出したくない程みっちり暗記させられた歴学のお勉強内容。

おお、流石にあの頑固野郎パニーニの強化教科(ワークワークワーク)だ。卒業してからも、そらですらすら言えるようにするなんて、いい仕事してやがる。

まあ、でも基本的には記憶しなきゃいけないのは嫌いだ。


ちなみにぼくはウォーカー。なーんの特徴も変化もない、この監獄に住む五万の人の欠片に過ぎない。

そう、なーんにも特別な事なんてない。

あればあったで人知れず苦労する事もあるんだろう。しかし少なくとも、この暇で退屈で憂鬱な日々を送らなくていいならば、特別ってやつは年頃のかわいい女の子と同じ、とても魅力的で魅惑的だ。


うーむ、このネックレスのゴツい翼を模した飾り(チャーム)にも、なにか魅力でも無いものか。


そんな事を思ってるうちに田園風景を駆け抜け、露天商が軒を並べるがやがやとした商店街まで来てしまった。

日はもう高々と上がって、暖かな春の日差しが石畳を温めている。


「金は無いけど、ちょっとだけ休憩していくか」

この時期の土産物屋は休暇に来る貴族用に、普段扱わない商品も仕入れる。見て回るだけでも面白いんだ。
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