紺色の海、緋色の空
勝てないと思った。
早紀は僕の目の前で男に貫かれた。
男の体は遙かに僕よりも強靱で力強く、そのくせ女が喜ぶツボを知っていた。早紀はあっという間に登り詰めた。
老獪で女を知り尽くした男にとって、青臭さの残る早紀を落とすなど造作のないことだったに違いない。
早紀は、初めて味わう本物の女の喜びに動揺を隠せないようだった。
ガクガクと腰を振るわせ、まるで僕など居ないかのように男の背中に腕を回した。
その時僕は、早紀とアイツに僕のすべてを否定されたような気がした。
そして僕は一生この男に屈して生きていくのだと、自らすべてを投げ出してしまった。
「馬鹿ね」
とシロナが呟いた。
「分かってるよ」と僕は突っぱねた。
あれが早紀の本心ではないことくらい、あの時の僕にだって分かっていた。
分かっているはずだった。
早紀は僕の目の前で男に貫かれた。
男の体は遙かに僕よりも強靱で力強く、そのくせ女が喜ぶツボを知っていた。早紀はあっという間に登り詰めた。
老獪で女を知り尽くした男にとって、青臭さの残る早紀を落とすなど造作のないことだったに違いない。
早紀は、初めて味わう本物の女の喜びに動揺を隠せないようだった。
ガクガクと腰を振るわせ、まるで僕など居ないかのように男の背中に腕を回した。
その時僕は、早紀とアイツに僕のすべてを否定されたような気がした。
そして僕は一生この男に屈して生きていくのだと、自らすべてを投げ出してしまった。
「馬鹿ね」
とシロナが呟いた。
「分かってるよ」と僕は突っぱねた。
あれが早紀の本心ではないことくらい、あの時の僕にだって分かっていた。
分かっているはずだった。