only one
ガラスには傷一つつかなかった。
へたり込む私の背後から聞こえる竜一の笑い声。
振り返る力もなくその場でうなだれる私の髪を掴んで立たせると竜一は髪を引っ張ったまま私を奥の部屋に引きずるようにして連れて行った。
ベッドに投げ出され、冷ややかな瞳で上から見下ろされる。
それでも怖くなかった。
恐怖よりも怒りが勝っていた。
「卑怯者!!」
竜一を睨みつけたまま怒鳴りつける私の頬に竜一の大きな掌がぶつけられるように振り下ろされた。
頬は火をつけたように熱を持ち痛みに顔を歪ませる。
広がる鉄の味。
それでも竜一に対して恐怖心はなかった。
「ここのガラスは特殊ガラスを使って作られている。
本来温室というのはこの部屋をカムフラージュするためだからな。」
だからお前がどんなに頑張ってもここからは出られない。
竜一の言葉で私は奈落の底に突き落とされた。
「お前は俺の妻になった。ここで一生過ごせばいい。」