愛した名前
私は鞄から携帯を取り出して、あきらにまた電話をしようとする。
「待って」
けいは私の手を止める。
私がけいの顔を見ると、
「俺がする」
そう言って携帯を取り出す。
私は小さく頷いた。
けいは、携帯を耳にあてる。
「もしもし俺・・・崎野だけど」
けいの持つ携帯からかすかにあきらの声が聞こえる。
『なんだよ』
「今から公園来てくんない?」
『は?』
「さきもいる。」
『・・・どこの公園だよ』
「店の近く」
ここら辺でお店の近くの公園はひとつしかないハズだから、きっとわかるはず・・・。
『今行く』
けいは携帯を閉じて、私に手を差し出した。
「行こう?」
「うん」
私はけいの手に自分の手をのせる。
・・・しっかり、あきらに伝えよう。
ごめんね。
今、好きな人がいるんだって・・・―――