愛した名前


―――「あ、来た」


自転車に乗ったあきらがこっちに向かって来る。


キキーッと自転車をとめると私たちの前へと歩いてくる。


すると、私の前でニッコリ笑う。


「さき、久しぶり♪」


「え、あ・・・うん」


私はあきらの笑顔に少し動揺・・・。


「さき~、俺昨日さ、友達と遊んでてそいつがさ~・・・・・・」


え?


私は意味のわからない顔をする。


いきなり話し始めたあきらの口が止まらない。


しかも、なんも関係ない話ばっかりで・・・。


すると、だんだんイラついてきたのか、けいが強い口調で言った。


「おい」


その言葉であきらが黙る。


「話があるのは俺ら。わかる?」


けいがそう言うと、あきらはため息をついた。


「はいはい。なんですか~?」


面倒くさそうにイスに座るあきら。


こんなあきら、初めて見た・・・。






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