俺だけの愛しい妹

「妹の結菜ちゃんと、ほんと仲いいんだね」

気安く名前を呼ぶな。

そう言いたいが、我慢し

「だろ?」

なんて笑ってみせた。

「まぁ、可愛いからなぁ」

その言葉に高ぶる感情を抑え、笑顔だけ向ける。

俺以外可愛いなんて言わせない。

俺の妹

俺だけの妹

俺だけしか愛しちゃいけない。

「手、出すなよ」

結構本気な声で言ったのに、龍平は笑って

「わかってるって」

と言った。

冗談じゃないぞ。

本当にわかっているのか。

疑問を全てぶつけてしまいたい。

「お前、モテるんだからさ、彼女つくれよ」

俺の肩に手を乗せながら龍平は言った。

彼女?

そんなもの、俺に必要ない。

俺には結菜だけがいればいいんだ。

結菜以外、俺には必要ない。

< 13 / 98 >

この作品をシェア

pagetop