天使的恋愛論

予測不可能さん




作間は、かなり予測不可能な動きをする。
すごく短時間だったけれど、それはすぐにわかった。


俺が今までいた世界にはそんな厄介な人はいなかった。
みんな、決められた仕事を、決められた時間にする。

それが、当たり前だったから。
俺が研究生としてここに来て、もう二ヶ月が経つけれど、やっぱり慣れない。

けど、こんなに面白い人間なら、研究のしがいがある。
俺の行く先の人間も、これくらい面白い人間だといい。


でも、基本的に人間は面白い。少なくとも、「俺たち」よりは。

「表情」や「感情」が、俺たちよりも遥かに豊かだと思う。

そんな点でも、研究はすごく楽しみだった、のに。


着いた家の標識には、「作間」と書かれていた。
そして案の定、やってきたのは作間だったんだ。


「……ちょ、へ!?け、研究ってなに?」

「研究、っていうのは辞書引けばわかると思うけど。」

「ちょっ!違うのっ、何の研究!?」


無駄に手足を動かして、彼女は大きな声を出す。
俺は、表情を変えないまま言った。


「人間の、感情や表情の、変化。」

「は、へ?人間?」


首を傾げて、眉を八の字にしたまま、彼女は動かなくなってしまった。
うん、こういう反応も、すごく面白い。


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