2つの世界
「だったら、あたしが弘輝を好きになるようにしてよ!!あたし…もう嫌なの…。」
「…理由は聞かねーよ。誰かも聞かねー。でもさ、キスしただけで俺を好きになれるような思いなの?」

弘輝は、真剣な顔のままだ。

見た目は、茶髪で肩くらいまでの髪とハーフみたいな顔で、どーみてもチャラい、弘輝。

でも、あたしよりしっかりした考えを持ってる。

自分よりあたしの事を考えてくれた。

そんな弘輝を利用しようとしてる。

わかってたんだ。

弘輝とキスしたって、悠斗を忘れられない事くらい。

「俺はさ、桜が好きだよ。でも、桜の心がないまま付き合っても仕方ないと思う。」
「弘輝…。」
「だからさ、友達になんない?」
「は?」
「だから、友達から始めようって事。」

そんな風に言ってくれるなんて思わなかったよ。

ありがとう。弘輝。

弘輝と話してるのを、会話が聞こえないところから悠斗が見てるなんて。

知らなかったよ。

このとき、あたしは知らない事ばっかだった。

悠斗の気持ちも。

波留さんが1年前からずっと動いてることも。

あたしが悠斗を傷つけてる事も。

でも。すべてが終わる日は確実に近づいていた。
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